「簿記1級はやめとけ」と言われる理由とは?取得するメリットや合格後のキャリアまで徹底解説

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「簿記1級はやめとけ」と言われる理由とは?取得するメリットや合格後のキャリアまで徹底解説

「簿記1級はやめとけ」と簿記1級の取得を検討している方の中には、耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか。
簿記の検定試験は、日本商工会議所が主催する『日商簿記1級』、全国経理教育協会が主催する「全経簿記1級」、全国商業高等学校協会が主催する「全商簿記1級」の3種類あります。一般的に簿記1級といえば、『日商簿記1級』を指します。

日商簿記検定は、日本商工会議所が主催する資格試験の中でも、知名度・受験者数ともにトップクラスを誇る簿記の王道資格で、その中で最上位に位置するのが「簿記1級」です。
簿記1級は、難易度が高い一方で、取得すれば専門的な知識を証明できるため、就職や転職で有利になるメリットがあります。

この記事では、「簿記1級はやめとけ」と言われる理由から、簿記1級を取得するメリット、簿記1級の試験範囲や受験資格、日程、資格の位置づけ、さらに合格後のキャリアパスまで、簿記1級の全体像を詳しく解説します。簿記1級の取得を迷っている方、簿記1級の知識を活かしてキャリアアップを目指したい方は、ぜひ最後までお読みください。

簿記1級はやめとけって本当?まずは概要から確認

簿記1級は「やめとけ」と言われることがありますが、その理由を理解するためには、まず試験の概要を把握することが大切です。ここでは、簿記1級の試験範囲、受験資格、試験日程、そして資格が持つ意味について解説します。

簿記1級の試験科目・試験時間・合格基準
簿記1級の試験科目は、商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算の4科目です。
試験時間は、商業簿記・会計学⇒90分、工業簿記・原価計算⇒90分の合計180分(3時間)です。
合格基準は、70%以上。ただし、1科目ごとの得点は40%以上
商業簿記・会計学(配点:50点)
工業簿記・原価計算(配点:50点)
つまり、簿記1級の試験で合計70点をとっても、いずれかの科目で10点以下だと合格できません。

〇商業簿記・会計学
企業が日常的に行う取引を記録・計算し正確な報告(決算書作成)を行うための商業簿記と、会計学が出題されます。内容は非常に高度で、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規などの知識が問われます。
〇工業簿記・原価計算
製品の製造にかかったコストを計算する工業簿記と、原価を管理・分析する原価計算が出題されます。コスト管理や経営管理に直結する知識が求められます。

簿記1級の受験資格
日商簿記検定に特別な受験資格は、必要ありません。年齢や学歴、実務経験に関係なく、誰でも受験できます。しかし、簿記2級や3級の内容を十分に理解していることが前提となるため、多くの方は段階的に学習を進めて簿記1級に挑戦します。

簿記1級の試験日程・試験会場・申込方法
■試験日程:試験は年に2回、6月と11月に行われます。1級の試験は、随時実施される「ネット試験」がある2級・3級と違って、年に2回しか実施されないため注意が必要です。
■試験会場:各商工会議所などです。
■申込方法:試験の申し込み期間は試験日の2ヶ月前となっています。受験地の各商工会議所に余裕をもって申し込みしましょう。
参照:商工会議所の検定試験HP

簿記1級の合格率
簿記1級は毎回10%程度しか合格できない難関試験です。


簿記1級の合格に必要な勉強時間
簿記2級の知識がある人で、500~800時間以上が必要です。1日に2時間勉強した場合は、1年前後の期間が必要になります。500時間で一発合格できる人もいれば、複数回受験して1500時間以上となることもあり、難関試験のため、個人差が大きく幅があります。

簿記1級の位置づけ・簿記2級との違い
簿記1級は、日商簿記検定の最高峰であり、税理士や公認会計士などの国家資格への登竜門とも言える資格です。
簿記1級は大企業で求められるレベルの会計処理が必要とされており、中小企業の経理実務を想定している簿記2級よりも知識レベルのハードルがかなり高く設定されています。
簿記1級の試験は、簿記2級では扱わない特殊な取引や、より複雑な財務諸表の作成知識が求められ、専門的です。簿記2級では処理の暗記で対応できる問題も多いですが、簿記1級では会計処理の理論的な背景まで深く理解していないと正答が難しい問題が多数出題されます。
このため、簿記1級を取得することは、企業の財務諸表を深く分析し、経営管理や経営分析を行うのに求められるレベルの知識・能力があることを証明でき、会計事務所・企業の経理・財務部門だけでなく、経営企画やコンサルティングなど、より幅広い分野での活躍を目指す上で強力な武器となります。

「簿記1級はやめとけ」と言われる理由とは?

ではなぜ、インターネットや受験経験者の声を調べてみると「簿記1級はやめとけ」と言われることがあるのでしょうか?ここでは、代表的な理由について解説します。

1. 合格までに多くの勉強時間が必要だから
上記に解説したように、簿記1級に合格するためには、500~800時間以上が必要です。簿記2級の合格に必要な勉強時間が200〜350時間程度であることを考えると、その難易度の高さがわかります。簿記2級までと比べて、試験範囲が広く各科目の内容も高度になり、難易度が跳ね上がるため、長期にわたる計画的な学習が不可欠です。
特に社会人の場合、仕事と勉強を両立させることは非常に困難です。通勤時間や休憩時間を活用するなど、工夫して勉強時間を確保する必要があります。
また、一度挫折するとモチベーションを維持するのが難しくなるため、計画通りに学習を進める強い意志が求められます。

2. 合格率が低いから
簿記1級の合格率は、例年10%前後と非常に低い水準で推移しています。しかも、受験チャンスは年2回のみです。
これは、合格率が約20~30%台の簿記2級と比べても、その狭き門であることがわかります。
合格率の低さは、多くの人にとって大きなプレッシャーとなり、精神的な負担にもなります。

3.難易度の割に評価されにくいから
簿記1級の合格率や必要な勉強時間は、社会保険労務士や行政書士などの独立開業が可能な国家資格と肩を並べるレベルです。
そのため、「これほど難易度が高いにもかかわらず、独占業務がなく、資格手当や昇給はわずかな額で、努力に見合わないのでは?」といった声や、「簿記1級で学ぶ知識は、大企業や上場企業の経理業務でしか使えず、中小企業では実務で活かせる機会が少ないのでは?」という意見も聞かれます。

確かに、簿記1級を取得した直後に大幅に収入が上がったり、中小企業の経理業務で直接的に使う機会は少ないかもしれません。しかし、これはあくまで表面的な話で、中長期的なキャリアを考えると、就職や転職、昇給・昇格や異動、生涯賃金などの面でプラスになる可能性が非常に高く、あなたのスキルを証明する強力な武器になります。

簿記1級を取得する3つのメリット

「簿記1級はやめとけ」と言われる理由を解説しましたが、一方で簿記1級を取得することで得られるメリットは非常に大きいです。
ここでは、簿記1級を取得する3つの主要なメリットを解説します。

1. 大学や会社で有利になる
簿記1級を取得すると、大学の推薦入試や単位認定で優遇されることがあります。特に、経済学部や経営学部では、簿記1級の知識が講義の理解を深めるのに役立つため、取得を推奨している大学もあります。
また、企業や会計事務所によっては、簿記1級の取得者に対して資格手当を支給したり、昇進・昇給の評価対象にしたり、経理・財務職へ異動を希望する際に有利に働くケースがあります。

2. 就職・転職・起業の際に有利になる
簿記1級は、就職や転職において、履歴書に記載するだけで、大きなアピールポイントとなります。
「簿記2級は持っている人が多いけど、簿記1級はなかなかいない」というのが実情です。
企業の経理・財務部門、会計事務所、経営コンサルティングなどへの就職・転職を希望する場合、簿記1級は即戦力となる知識を持っていることの証明になり、有利に働きます。
また、起業家にとっても、簿記1級の知識は資金繰りや経営管理に役立つため、事業を成功させるための武器となります。

3. 税理士・公認会計士へのステップアップに繋がる
簿記1級の知識は、税理士や公認会計士といった難関国家資格の学習内容と重複する部分が多くあり、将来的に会計のプロフェッショナルを目指すのであれば、ステップアップに繋がります。
特に、税理士を目指す人で、大卒資格や実務経験がない場合、簿記1級を取得すると税理士の受験資格を得ることができます。
▼関連記事
参考:『税理士になるには?資格取得から登録まで徹底解説』

このように、会計系職種を軸に中長期的な視点でキャリアを築きたい人にとっては、大きな土台となり、将来のキャリアアップ・収入アップに繋がる資格です。

簿記1級に関するよくある質問(Q&A)

ここでは、簿記1級の取得を検討している方が抱きがちな疑問にQ&A形式で答えていきます。

■簿記1級は希少性が高いですか?
はい、非常に高いです。
簿記1級の合格者は、簿記3級や2級に比べて圧倒的に少ないため、希少価値が高いと言えます。在学中に簿記1級を取得している学生は少なく、就職活動では強力なアドバンテージとなります。また、社会人においても、企業の経理・財務部門、金融機関、会計事務所、コンサルティング業界などで簿記1級を持っていることは、専門性の高さを証明し、キャリアアップや転職活動で有利に働きます。

■簿記1級を取得するのに何ヶ月かかりますか?
個人の能力や学習状況・学習時間によって異なりますが、簿記2級の知識がある人で、一般的に最低でも500~800時間以上が必要です。1日に2時間勉強した場合は、1年前後の期間が必要になります。
仕事や学業と両立しながらの学習は難しいため、余裕を持った学習計画を立てることが重要です。

■簿記1級取得者の平均年収は?
国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した日本全体の給与所得者1人あたりの平均年収は約460万円です。
簿記1級取得者の平均年収は、勤務先の企業規模、職種、役職、勤続年数、地域などによって大きく異なります。参考値となりますが、簿記1級が活かせる職業別の平均年収は以下となります。

【職業分類】
経理事務員:509万円
総務事務員:513万円
金融・保険営業員:631万円
会社管理職員:917万円
税理士・公認会計士:856万円
出展:厚生労働省『職業情報提供サイト(jobtag)』

■簿記1級と税理士はどっちが難しいですか?
一般的には、税理士試験の方が難しいと言えます。税理士試験は5科目(会計科目:2科目、税法科目3科目)の合格が必要であり、その学習範囲も多岐にわたります。

【まとめ】
この記事では、「簿記1級はやめとけ」と言われる理由と、簿記1級を取得するメリットについて解説しました。簿記1級は、合格までに多くの時間と労力が必要であり、合格率も低いことから、取得をためらう人もいるかもしれません。しかし、簿記1級で得られる知識やスキルは、キャリアアップや上位資格へのステップアップに大いに役立ちます。

簿記1級は、高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえ、経営管理・経営分析を行うために求められるレベルの知識や能力を証明することができるため、将来的にキャリアを大きく広げたい方にとって、非常に価値のある資格です。

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