会計・税理士事務所 経験者の退職理由10選!経験を活かして転職するには?

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会計・税理士事務所 経験者の退職理由10選!経験を活かして転職するには?

会計・税理士事務所で働く中で、「このままでいいのか?」と感じて、一度は「もう辞めたい」と悩んだ経験を誰しもがお持ちではないでしょうか?
厚生労働省の令和5年雇用動向調査結果によると日本の離職率の平均は15.4%程度ですが、会計事務所・税理士事務所の離職率は、一般的にこれよりも高いと言われています。

これは、そもそも独立開業を目指す人が多いことや、パート職員も多いこと、そして同業種への転職がしやすいといった業界特有の理由があるからです。

本記事では、会計事務所・税理士事務所を辞める主な理由を10項目にわたって深掘りし、さらに、辞めたいと思った時にまず考えるべきこと、そして転職活動の進め方について詳しく解説します。転職を検討している方はもちろん、今後のキャリア形成に悩んでいる方にとって、今後を考えるヒントになれば幸いです。

会計事務所・税理士事務所の退職理由10選!

ここでは、実際に多くの人が退職を決意するきっかけとなった代表的な理由10選を紹介します。

① 残業・給与面・待遇面への不満
繁忙期の確定申告時期や決算期に深夜残業や休日出勤が続き、通常期も長時間労働が常態化するという事務所も中にはあり、「残業が多いのに給与が見合わない」、「税理士試験の勉強時間を確保できない」、「給与アップが見込めない」、「評価制度が不透明」、「有休が取りづらい」、といった給与・待遇面の不満は、離職理由の中でも特に多く聞かれます。

② キャリアアップがしたい
同じような業務の繰り返しや、単純作業ばかりで成長が感じられないという不満も多くあります。
「より専門性の高い業務に挑戦したい」、「もっと幅広い業務に携わりたい」といったキャリア志向の強い人は、自身のキャリアアップを見据えた際に、現在の事務所ではそれが難しいと感じ、転職を考えるケースです。

③ 税理士試験の勉強時間を確保したい
税理士資格の取得を目指している方にとっては、勉強時間の確保も必要です。繁忙期だけでなく、通常業務でも残業が多く勉強時間が確保できないといった理由で、より試験勉強が確保できる環境を求めて退職を選ぶことがあります。また、「このままでは合格できない」と考え、一旦退職して勉強に専念する人もいます。

④ 人間関係
人間関係はどの職場でも共通の悩みですが、会計事務所においても人間関係は大きな退職理由の一つです。
所長や上司との関係性、同僚とのコミュニケーション、そして顧問先との相性など、人間関係が原因で、仕事へのモチベーションが著しく低下し退職を決断するケースです。会計事務所は、ほとんどが10名以下の小規模事務所なので、所長の意向が組織風土に強く反映されます。所長との相性が合えば距離が近くて学びやすく、長く働きやすい職場となりますが、逆に相性が合わず所長のトップダウン経営にモチベーションを維持しにくく、離職に至るといったケースも少なくありません。

⑤ 事務所の社風が合わない
事務所ごとに独自の社風や方針があり、働き方や雰囲気・文化は異なります。
例えば、昔ながらの慣習が残る事務所や、個人の裁量が少なくトップダウンの傾向が強いなど、自分に合わない職場文化に馴染めず、自身の働き方や成長イメージとのギャップを感じ、息苦しさを感じることが理由で退職に至るケースもあります。

⑥ 将来性への不安
業界全体の将来性、あるいは勤務している事務所自体の将来性、所長の高齢化に伴う事業承継への不安など、将来に対する漠然とした不安が退職のきっかけとなることがあります。例えば、IT・AIの進展で業務内容が大きく変わるのではないか、事務所が閉鎖されるのではないかといった懸念で、キャリアの長期的視点から、より安定した職場への転職を検討するケースがあります。

⑦ 教育・研修体制が整っていない
「いきなり実務を任された」「マニュアルがない」「質問しにくい雰囲気がある」など、教育・フォロー体制への不満も退職理由として挙げられます。特に未経験者や経験の浅い方にとっては、サポートがないと、業務に対する不安やストレスが大きくなってしまいます。

⑧ 入社時の条件と実際の業務内容が異なる
入社前に提示された給与や業務内容、残業時間、休日などの条件が、実際に入社してみると大きく異なっていたというケースです。「入社前に聞いていた話と違う」「約束されていた担当顧客がもらえない」など、入社後のギャップにより不信感を持ち、早期退職につながることがあります。特に募集時の情報開示や面接での説明が不十分な事務所では、こうしたトラブルが起きやすくなります。

⑨ 一般事業会社へのキャリアチェンジ
「会計事務所ではなく一般企業で働いてみたい」、「管理部門の経理・財務や経営企画職に興味がある」、「外部からではなく、会社内部から経営に貢献したい」といった理由で、一般事業会社へのキャリアチェンジを目指す人もいます。

⑩ 独立開業
税理士資格を取得し、実務経験を積んだ後、自身の事務所を開業するために退職するケースです。

会計事務所の退職理由は、必ずしもネガティブなものばかりではありません。スキルや実務経験がある人は転職先を見つけやすく、また税理士資格を活かして独立開業を目指す人も多いため、ポジティブな理由で次のステップへと進むケースも特徴的です。

会計事務所を辞めたいと思った時、まずは「解決できる問題かどうか」を考える

「もう辞めたい…」という気持ちが芽生えた時、それがポジティブな理由であれ、ネガティブな理由であれ、まずは落ち着いて自身の状況を考えることが大切です。衝動的に退職してしまうのではなく、まずはその悩みが“現職で解決できる問題”なのか、“環境を変えるべき問題”なのかを冷静に見極めることが大切です。

■ 解決できる問題であれば、まずは現職で改善できるよう行動しよう
不満や課題の多くは、実は自分の行動次第で改善できる可能性があります。
たとえば「業務量が多すぎる」「勉強時間が取れない」などの悩みは、自分の仕事の進め方や優先順位を見直しみる、業務量の偏りであれば上司に相談してみるなど、まずは現職で改善策を探り、行動してみることで改善できるケースもあります。その際は、相談内容を整理して、感情的にならず、改善提案を具体的に伝えるなどコミュニケーションの取り方に十分配慮しましょう。
人間関係の問題も、相手を変えることはできなくても、相手の意見に耳を傾け、自分の接し方を変えることで関係性が良くなることもあります。実際に動いてみることで、状況が好転することも少なくありません。
辞める前に、「改善に向けた行動」を試みることで、後悔のない選択ができるようになります。

■ 行動しても解決できなければ転職も選択肢に
現職で改善に向けて行動しても状況が変わらない、上司や所長に相談しても状況が変わらない、あるいは根本的な問題で解決が難しい場合は、自分の将来を見据え転職によって状況が改善する可能性があるなら、転職活動を検討するのも一つの方法です。

■ 転職活動は、情報収集から計画的に準備を進める
転職活動が初めての場合は、何から手をつけて良いか迷うかもしれません。まずは、現職の状況も踏まえ、いつ頃までに転職したいのか、どのような条件を優先するのかなど、転職する時期やスケジュール、情報収集から始めましょう。

具体的には、以下のステップで準備を進めていくとスムーズです。

①転職で叶えたい希望や譲れない条件の確認・優先順位付け
業務内容、給与、勤務地、休日、残業時間、会社の規模、社風など、転職先に求める条件を具体的にリストアップし、優先順位をつけます。

②経歴の棚卸し・自己分析:
これまでの経験やスキル、強み、弱みを整理し、自分が何を求めているのか、どのような働き方をしたいのかを明確にします。

③履歴書・職務経歴書などの応募書類の作成
自身の魅力を最大限にアピールできるよう、担当業務や担当顧客、実績を具体的に記載し、使用会計ソフトの経験を明記するなど丁寧かつ具体的に作成します。
⇒※参考コラム:会計事務所/税理士事務所の求人へ応募する際の自己PRの書き方・伝え方 ポイントと例文

④求人情報の収集
興味のある事務所・企業や職種(特徴、仕事内容、成長性、福利厚生、キャリアパス、社員の声など)の情報を幅広く集めます。

⑤転職理由・志望動機の整理
なぜ転職したいのか、なぜその会社を選んだのかを応募先事務所にあわせて明確に説明できるよう準備します。
⇒※参考コラム:会計・税理士事務所に転職する際のよくある転職理由5選 ~退職理由との違いや伝え方のポイント・例文~
⇒※参考コラム:会計事務所/税理士事務所への志望動機の書き方

⑥面接の対策:
想定される質問への回答を準備し、模擬面接などで練習します。
⇒※参考コラム:会計事務所/税理士事務所の面接までにやるべき準備と対策とは?

以上の準備が整ったら、希望の求人へ応募し書類選考⇒面接⇒内定となります。
内定を貰ったら内定条件をしっかりと確認して受諾後に、現職へ退職する旨を伝えます。
退職する際は、現職に迷惑をかけないよう、「立つ鳥跡を濁さず」の精神で円満退職を目指しましょう。特に、税理士を目指している方は、将来税理士登録に必要な実務経験の証明を現職の税理士先生に依頼することが必要となりますので、なるべく円満に退職しましょう。

■ 転職先は中長期的な視点で選ぶ
焦って退職・転職してしまうと、また同じ悩みを抱えるリスクもあります。
目先の不満を解消するためだけに転職先を選ぶのではなく、できれば3年後、5年後、10年後といった中長期的な視点で「数年後にどうなっていたいか」「どんなキャリアを築きたいか」といったキャリアプランを考え、それに合致する転職先を選ぶことが後悔のない転職先選びに繋がります。スキルアップの機会があるか、将来的にどのようなキャリアパスが描けるか、たとえば「将来的に独立開業を目指すなら、幅広い業務経験が積める事務所を選ぶ」「専門性を高めたいなら、特定の分野に特化した事務補を探す」などを考慮して、慎重に検討しましょう。

会計事務所での経験を活かして転職するには?

会計事務所・税理士事務所での経験は、転職市場で高く評価されます。転職活動において、情報収集は成功の鍵を握ります。できるだけ多くのツールを利用し、幅広く情報を集めることがベターです。
・インターネット: 求人サイト・転職サイトで求人情報が掲載されており、希望条件を絞り込んで検索できます。
・転職エージェント: エージェントに登録することで、非公開求人などの情報を得ることができます。キャリアカウンセリングや応募書類の添削、面接対策などのサポートを受けられます。
・SNS: 業界の動向や企業の情報をリアルタイムでキャッチアップでき、直接企業の人事担当者や採用担当者と繋がる機会もあります。
・同業界で繋がりのある家族や友人・知人: 実際にその業界や会社で働いている人からの生の情報は、非常に参考になります。ただし、現職や現職に繋がりの深い人に相談するのは、現職に転職の意図が知られるリスクがあるため控えるのが無難です。

【会計事務所の実務経験が活かせるキャリア例】
会計事務所で培った経験を活かせる代表的なキャリア例をご紹介します。
■ 会計事務所・税理士法人へ
現在の会計事務所で培った経験を活かし、別の会計事務所や税理士法人へ転職することは、キャリアアップの有力な選択肢です。また、将来的に独立を目指す方は、一番の近道となります。
担当する業務や顧客層の変更、試験勉強との両立やワークライフバランスの改善など、多様な働き方を選択できる可能性も広がります。また、単に職場を変えるだけでなく、さらに専門性を深める機会となります。例えば、専門領域や特定業種に特化したり、規模や総合事務所などで経験を積んだりすることで、自身の市場価値を高められます。新しい人間関係や社風の中で、多様な専門家との交流や組織的な学習を通じて、スキルアップやモチベーションを高めることも可能です。

■ コンサルティングファームへ
特に会計系のコンサルファームでの活躍が期待でき、経営・事業・財務戦略やM&A・IPO・事業再生など支援する部門では、会計・税務の専門知識が必要不可欠で、会計事務所での経験が活かせます。

■ 一般企業の経理職へ
会計事務所での会計・税務の知識や経験は、一般事業会社の主に経理・財務部門で、その知識が大いに役立ち即戦力候補として評価されます。

あなたの会計事務所での経験は、かけがえのない財産です。本記事で得たヒントを活かし、あなたの未来を切り開く一歩を踏み出してみませんか?
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