会計事務所(税理士事務所)への志望動機の書き方

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会計事務所(税理士事務所)への志望動機の書き方

会計事務所(税理士事務所)へ応募する際の志望動機は、自身がなぜその職場を選び、どのような貢献ができるかを伝えるチャンスです。特に会計事務所業界では、専門的な知識やスキルが求められるだけでなく、コミュニケーション力やチームワーク、責任感なども重視されます。そのため、志望動機は応募者自身のパーソナリティや将来のビジョンをしっかりと表現する必要があります。
本記事では、会計事務所(税理士事務所)への志望動機を作成するための具体的なステップと注意点を解説します。

自己分析・過去の経歴の棚卸・将来のキャリアビジョンを考える。

志望動機を作成する前に、まずは自己分析を行うことが重要です。

①自己分析し価値観や強み、興味関心を明確にする
まずは、自身の価値観、強み、興味関心を明確にすることで、会計事務所での仕事との適性を判断できます。例えば、数字を扱うことが得意、細かい作業が好き、コミュニケーションを取るのが得意、企業の経営支援に興味があるなどの特徴が会計事務所の仕事と合致するかを考えましょう。

②過去の経験や実績・資格取得を振り返る
学生時代の勉強や部活動、アルバイト経験、社会人経験者であれば前職(接客、営業、SE、経理財務、バックオフィス、金融機関、会計事務所での実務経験など)での実績など、自身のこれまでの経験を振り返ります。これらの経験から得た能力や知識が、会計事務所でどのように活かせるかを考えることが重要です。
また、簿記や税理士、会計士、FP、ITパスポートなどの資格や資格勉強への取り組みについても棚卸します。

③将来のキャリアビジョンを考える
会計事務所での仕事を通じて、将来どのようなキャリアを築きたいかを明確にします。例えば、税理士資格の取得を目指す、独立を目指す、社員税理士を目指す、企業内でCFOを目指す、財務に強い税理士を目指す、国際税務に強い税理士を目指す、相続・事業承継に強い税理士を目指す、経営コンサルとして活躍したいなど、具体的なビジョンを持つことが大切です。

会計事務所業界・仕事内容・応募先企業の研究をする

志望動機を作成する上で、業界や仕事内容、応募先企業についての理解は不可欠です。
まず、「会計事務所」「税理士事務所」「公認会計士事務所」「税理士法人」など様々な名称がありますが、「会計事務所」は、税理士事務所や公認会計士事務所の俗称で業務内容はほぼ同じです。
「税理士事務所」は税理士が設立する事務所で、「会計士事務所」は公認会計士が設立する事務所です。
税理士は、税務代理、税務書類の作成、税務相談が独占業務で、国が認めた税務の専門家です。
公認会計士は、監査業務(財務書類の監査や証明)が独占業務で、公認会計士有資格者のみがおこなえます。また、税理士登録をすることで税理士業務もおこなうことができます。
「税理士事務所」と「税理士法人」の違いは、個人事業主か法人かの違いです。「税理士法人」は2名以上の税理士が在籍する法人です。

①業界について
会計事務所業界の現状や課題・将来性について、業界の動向を把握しておくことも重要です。

・税理士の登録者数
81,228人
※参照:日本税理士会連合会 税理士登録者・税理士法人届出数(令和6年8月末日現在)
税理士の登録者数は毎年増加しております。

・会計事務所の数
会計事務所の総数は30,479事業所です。
※参照:総務省統計局「経済センサス」「事業所・企業統計調査」令和3年 公認会計士事務所、税理士事務所の数値
税理士法人の増加や高齢化による廃業などの影響もあり、ゆるやかですが減少傾向にあります。

・税理士の高齢化
税理士の年齢構成を見ると、20代は0.6%、30代は10%、40代は17%、50代は17%、60歳以上が半数以上を占めており高齢化が進んでいます。
※参照:日本税理士会連合会 第6回税理士実態調査

・競争の激化と顧問報酬の下落
税理士の増加と共に顧問先企業の獲得競争が激しくなっています。これにより、顧問報酬の下落が起きています。

・人手不足、就職や転職希望者にとっては有利な売り手市場
少子高齢化もあり他業種と同様に人手不足の状況です。また、独立や資格・スキルがあれば様々なキャリアがあり他業種とくらべて人材の流動性が高い業界です。
就職や転職希望者にとっては、有利に働く売り手市場が続いています。

・業務内容の変化、ITツールの活用や高付加価値業務へのシフト
RPA、クラウドサービスの発達により、従来税理士が行っていた記帳代行などの単純作業が自動化されつつあります。今後はAIの発達により、ますます単純作業などは効率化されるものと予想されています。
これにより、税理士に求められる業務内容が変化し、より高度な税務相談や経営コンサルティングなどの高付加価値業務へのシフトが求められています。専門性の高いサービスへの需要は今後も継続すると予想されます。

・会計事務所業界の市場規模や将来性について
市場規模は年々増加傾向にあり、市場規模は拡大しております。
令和 3年(2021年) 1兆9022億円
平成28年(2016年) 1兆5328億円
平成24年(2012年) 1兆1975億円
※参照:総務省統計局「経済センサス」公認会計士事務所、税理士事務所の数値

税制や会計基準の変更が続く限り、個人や法人は税理士のサポートが必要となります。また、税務業務のデジタル化が進む中でも、税理士が果たす役割は依然として重要です。税務や会計、財務に関するコンサルティング能力や、相続・事業承継、M&Aや国際税務に関する専門知識などを持つ税理士は今後も高い需要があります。
時代の変化に適応し、新たな価値を提供できる税理士には依然として大きな需要があると言えます。高度な専門知識と経営支援能力を磨き、テクノロジーを活用しつつ、顧客のニーズに応えていくことが、税理士としての将来性を高める鍵となるでしょう。

②仕事内容について
会計事務所での主な業務内容を理解しましょう。
税務書類の作成、税務代理、税務相談などが主な業務となります。
通常の税務業務以外にも、コンサルティング、財務、会社設立、IPO、M&A、相続・事業承継、国際税務等の業務があり、
医療や不動産等の業種特化、資産税等の業務特化など会計事務所により業務内容が異なります。
また、働く会計事務所の規模、クライアントの数、業種や規模、分業制やチーム制の有無、チェック体制など会計事務所により実際の業務内容や将来携われる業務内容が変わってきます。

③応募先企業について
志望する会計事務所の特徴や強み、企業理念、社風、代表のお人柄、働き方や働く環境、福利厚生、教育体制、評価制度などをHPや求人内容から調べて、できる限り情報収集をします。

会計事務所の規模は、BIG4税理士法人(デロイトトーマツ、KPMG、PwC、EY)や、100名以上の大規模な会計事務所もありますが、そのほとんどが従業員数10名以下の規模がほとんどです。顧問先は、個人・中小企業が中心となります。20名前後以上で中規模となり、中規模事務所以上は組織だった運営がされているケースが多いです。近年税理士法人も増加しており、大規模化が進んでいる傾向にあります。また、専門特化型(相続、医療、不動産、国際税務など)の会計事務所も増えております。
事務所の規模や専門分野、クライアントの特徴などを把握することで、より具体的な志望動機を作成できます。

会計事務所への志望動機作成5STEP

志望動機を作成する際は、以下の5つのステップを意識しましょう。
志望動機は、「なぜその業種業界・企業や職種を選んだのか」の理由と「入社後に実現したいこと」を説明するものです。また、就業経験者であれば現状で叶えられないことを応募先の会計事務所で実現できると思う内容を伝えることです。

①業界、職種、業務内容との適性や転職理由について考える
業界、職種、業務内容との適性を明確にします。自己分析した内容と照らし合わせ、自身がどのように適しているかを考えて書き出します。
就業経験がある場合は、転職したいと思ったことを具体的なエピソードも踏まえ整理します。

②就職・転職先の会計事務所の情報収集をする
応募先事務所の情報を収集します。情報が豊富にないこともありますが、HPや求人内容、インターネットやSNSからできる限り情報を収集します。そして、求職者として魅力的に感じるポイントを見つけます。オフィスの立地、社風、経営方針、業務内容、給与水準、福利厚生、勤務体系、代表や職員の経歴や人柄にいたるまで、多面的に特徴を見つけることがポイントです。

③就職先・転職先と自身のマッチングポイントを示す
自身の強みやこれまでの経験が、応募先の会計事務所でどのように活かせるかを具体的にエピソードも踏まえ示します。例えば、これまでの経験が特定の業務に活かせることなどをアピールします。
また、就業経験がある方は①転職理由と②応募先事務所の情報と照らし合わせて重なる部分を見つけます。

④自身を採用するメリット、将来的なキャリアビジョンを考える
自身を採用することで応募先の会計事務所にどのようなメリットがあるかを考えます。具体的な貢献方法や、将来的なキャリアビジョン(入社後の目標)を示すことが効果的です。

⑤志望理由を明確にする
以上を踏まえ、なぜその応募先の会計事務所を志望するのか、具体的な理由を明確にします。応募先の会計事務所の特徴や強みと自身のキャリアビジョンや転職理由とどのように合致するかを整理し、最後に文章としてわかりやすくまとめます。就業経験のある方は、退職・転職理由については、愚痴や不満を直接的に表現するのではなくポジティブな表現に言い換えることもポイントになります。

以上を踏まえて200~300文字程度を目安に志望動機を作成します。
①「私が、貴事務所を志望する理由は●●●です。」と志望した理由を結論から記載。
②「なぜなら私はこれまで●●●の経験をし、●●●というスキル(資格)を身に着ける中で●●●というキャリアの展望を抱くようになりました。」と①の結論に至った背景や応募資格に必要な経験や資格、長期的なキャリアの展望や応募先の魅力について説明。
③「入社後は、これまでの経験を活かし、貴事務所の●●●に貢献したいです。」と前向きな意思表明で締めくくると志望意欲の高さが伝わりやすくなります。

会計事務所への志望動機例文

最後に、良い例と悪い例を紹介します。

【良い例】
「私が、貴事務所を志望する理由は、気軽に相談しやすく常に顧問先によりそった税務サービスを提供するという理念に共感し、多種多様な顧客に対応している点に魅力を感じた為です。
私は大学で簿記を学び、簿記2級を取得したことをきっかけに、経営者の参謀役として活躍できる税理士に興味を持ちました。現在は簿記論と財務諸表論の資格取得に向け勉強を続けております。貴事務所は、多岐にわたる税務の知識と経験を積むことができる環境は、成長する上で非常に貴重だと考えています。また、将来的にはコンサルティング業務にも携わりたいと考えており、貴事務所での経験を通じてそのスキルを磨いて貢献していきたいです。」

【悪い例】
「税理士の仕事に興味を持ち、貴事務所に応募しました。資格手当や休日休暇が充実しており、資格勉強の時間も確保できる環境で実務経験を積みたいと思っています。」

⇒この例は、税理士を目指す理由や、志望した理由について具体性に欠け、志望動機が明確ではありません。また、手当や福利厚生面のみが記載されており、応募先の会計事務所の特徴や応募要件、自身の強みについての言及がないため、改善が必要です。

以上の点を踏まえ、自身の経験や志望理由を具体的に述べた志望動機を作成することで、会計事務所への就職・転職の可能性を高めることができるでしょう。

■まとめ
会計事務所(税理士事務所)への志望動機を作成する際には、自己分析、業界・業務内容に対する理解、企業研究を深めることが鍵です。また、志望理由を具体的に示し、自分がどのような価値を提供できるかを明確に伝えることが重要です。しっかりとした準備とリサーチを行い、自分と応募先とのマッチングポイントを見つけ、それを志望動機で表現することで、採用担当者に良い印象を与え、就職・転職の可能性を高めることができるでしょう。

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