税理士と会計士の違いとは?

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税理士と会計士の違いとは?

税務や会計の専門家として知られる税理士と公認会計士。両者は似たような仕事をしているように見えますが、実際には大きな違いがあります。本記事では、税理士と会計士の違いを、業務内容、クライアントの違い、資格取得の難易度や給与体系など、さまざまな観点から解説していきます。それぞれの特徴を把握することで税理士と会計士についての理解が深まり、キャリア形成に役立てる情報を提供します。

税理士と会計士の独占業務とは?
■税理士の独占業務
税理士の独占業務は、税理士だけが許されている業務を言い、具体的には、税理士法第2条で定められている以下の業務が法律で税理士の独占業務として定められています。税理士でない者が税理士業務を行うことはできません。
①税務の代理
本来納税者自身で進めるべき税務手続きを代理することや代行することです。
税務署への税金の申告、税務署からの調査や処分に対する主張や陳述を行うことなど、クライアントに代わって税務関連の手続きを行います。
②税務書類の作成
所得税、消費税、法人税、地方税、相続税など、税務申告に必要な書類を作成します。
③税務相談
クライアントの税務に関する相談を受け、法律に基づいた適切なアドバイスを提供します。
納税額の計算方法、納税手続きの方法、節税効果の算出、税務署への主張や陳述の仕方などについて助言することが含まれます。

■会計士の独占業務
公認会計士の主な業務は、企業の会計や財務に関連する高度な監査とコンサルティングです。
公認会計士法2条で定められている以下の業務が会計士の独占業務として定められています。
①財務書類の監査
企業が作成した財務諸表の正確性と適切性を確認し、公正かつ客観的な意見を提供します。
②財務書類の内容証明
監査した財務書類の内容が適正であることを、独立した第三者として公に証明します。
独占業務である監査は、「資本市場の番人」として企業の財務情報の信頼性を確保し、健全な経済活動を支える重要な役割を果たしています。

税理士が税務に特化した業務を行う一方で、会計士は企業全体の財務健全性を担保する役割を持つ点で大きく異なります。また、公認会計士は税理士登録をすることにより税理士業も行うことができます。

税理士と会計士のクライアントの違い

■税理士のクライアント
税理士は、個人から中小~上場企業まで幅広いクライアントを持ちます。
クライアントとの関係性は、経営者のパートナー的存在・距離感が近い・長期的な関係を築きやすい、などの特徴があります。
具体的には、以下のようなクライアント層が挙げられます。
・中小企業
日常の経理や税務申告を代行し、経営者が本業に専念できるようサポートします。節税対策や資金調達のアドバイスも重要な業務の一部です。
・個人事業主
個人でビジネスを営む人々に対して、確定申告や税務相談を行います。フリーランスや小規模店舗経営者などが該当します。
・相続や贈与に関する相談者
相続税や贈与税の計算、申告書の作成、資産の評価など、個人向けの税務サポートも行います。

■会計士のクライアント
公認会計士の主なクライアントは、主に大企業や上場企業が中心です。
監査を受ける義務がある対象は:上場会社。資本金5億円以上、負債が200億以上の会社、学校法人等です。
クライアントとの関係性には、第三者の立場で接する・一定の距離感がある・大規模なプロジェクトに携わる機会が多い、などの特徴があります。
具体的には、以下のようなクライアント層が挙げられます。
・大企業、上場企業
企業規模が大きく、財務諸表の監査や内部統制の評価が求められる法人が対象です。監査法人で働く会計士が多く、企業の信頼性向上を目的に活動しています。
・国際企業
グローバル展開をしている企業に対して、国際会計基準(IFRS)や海外子会社の管理をサポートします。
・資本市場関係者
投資家や金融機関からの信頼を得るため、正確で透明性の高い財務情報を提供する役割を担います。

税理士が中小規模のクライアントを主に支えるのに対し、会計士は大規模企業を主な対象としいる点が特徴です。

税理士と会計士の試験制度

1. 税理士の試験制度
税理士試験は、税理士となるのに必要な学識及びその応用能力を判定することを目的として、年1回実施される国家試験です。
科目選択制と科目合格制を採用しており、以下のような特徴があります。
・試験科目と合格要件
税理士試験は全11科目から5科目を選択して受験します。合格には、会計学に属する2科目(必須)、税法に属する3科目(選択必須)に合格する必要があります。1科目ずつ合格していくことができる科目合格制です。
税理士試験は難関試験として知られていますが、科目合格制を活用することで、仕事や家庭の状況に合わせて計画的に受験することができます。
参考:税理士試験は独学で合格できる?

2. 会計士の試験制度
公認会計士は、医師・弁護士に並ぶ三大国家資格であり、短答式試験と論文式試験の2段階で構成されています。
・短答式試験
短答式試験は年2回、12月と5月に実施され、基本的な知識を問う選択式試験です。
・論文式試験
論文式試験は8月に実施され、専門的な知識を問う記述式試験です。
受験科目は、5科目で、必須科目: 会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目1科目です。
短答式試験に合格すると、その合格は2年間有効となります。

3. 試験難易度の違い
税理士試験と会計士試験はどちらも合格率が10%台の難関ですが、会計士試験の方が合格率が低く、難易度が高いとされています。
それぞれ年によって変動がありますが、税理士試験の合格率は、約18%前後で推移しており、公認会計士試験の合格率は、短答式が10%台前半・論文式が30%台半ばで推移しており、全体の合格率は10%前後です。
勉強時間は、個人の学習効率や目標とする合格期間によって勿論変動しますが、税理士資格(5科目)の合格までの勉強時間の目安は、少なくとも3000時間以上。会計士試験の合格に必要な勉強時間の目安は、少なくとも3500時間以上とされています。

最短で合格した受験期間を比較すると、会計士試験は約1年半~2年、税理士試験は4年~5年前後と、一般的に公認会計士試験は短期、税理士試験は長期となる傾向があります。
働きながら資格取得を目指す場合、科目合格制度があり1科目ずつ受験できるため税理士試験の方が取り組みやすいとされています。

税理士と会計士の給与について

国税庁の「令和5年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者1人あたりの平均年収は460万円です。
税理士・公認会計士の年収は、746万円と高い水準となっています。

給与や待遇は個人や勤務先によって大きく異なりますが、以下のような傾向があります。
・税理士⇒ 税理士事務所や大手税理士法人、中小企業など、経験や実績によって収入が大きく変わります。
・公認会計士⇒ 監査法人やコンサルティング会社、大手企業での勤務が多く、初任給や平均年収が比較的高い傾向にある。

会計士の方が大企業を対象とする業務が多いため、平均年収は高い傾向にあります。独立開業がしやすい面では、税理士の方が収入の上限が広がる可能性もあります。

出典:三菱UFJ銀行HP 日本の平均年収は?職業情報提供サイトjobtag 公認会計士職業情報提供サイトjobtag 税理士

【まとめ】
税理士と会計士は、どちらも会計や税務のプロフェッショナルですが、その役割や業務内容、クライアント、試験制度に大きな違いがあります。税理士は主に税務に特化し、個人から中小企業まで幅広いクライアントを持ちます。一方、会計士は主に大企業の監査業務を行い、財務諸表の信頼性を確保する重要な役割を担っています。 どちらの資格を目指すかは、自身のキャリアプランや興味関心、得意分野によって選択することが大切です。税務や会計の分野に興味がある方は、それぞれの特徴を理解した上で、自分に合った道を選んで充実したキャリアを築いていきましょう。
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