会計事務所（税理士事務所）では、1年を通じて様々な業務が発生し、その業務内容に応じて繁忙期が決まっています。会計事務所（税理士事務所）での業務は法定の提出期限に基づくため、特に確定申告や決算の時期に多忙となります。ここでは、主な年間スケジュールと業務内容をご紹介します。

■年末調整（11月～1月）
給与所得者の毎月の給与や賞与から差し引かれた源泉徴収税額と、本来納めるべき所得税額の差分を精算する手続きです。過剰に支払っていた場合は還付され、逆に不足していた場合は追加で徴収されます。
顧問先の全従業員の様々な資料・データを取り扱い、業務量も多くなります。

■償却資産の申告、法定調書・給与支払報告書（12月～1月）
法定調書は、企業が税務署に提出する、従業員や取引先への支払いに関する報告書です。給与所得の源泉徴収票や報酬支払調書などがあります。
給与支払報告書は、企業が従業員に支払った給与に関する情報を、従業員の居住地の市区町村に報告する書類です。これを基に、従業員の住民税が算定されます。
償却資産税は、企業や個人事業主が事業用に所有している固定資産（建物以外の資産）について、その評価額を毎年自治体に申告する手続きです。この申告に基づき、償却資産税（固定資産税の一部）が課税されます。
いずれも1月末に提出が必要となります。

■個人の確定申告（1月～3月）
1年間に得た所得やそれに対する税金を計算し、納税額を申告する手続きです。主に個人事業主やフリーランス、給与所得者でも特定の条件に該当する場合に必要になります。
確定申告は3月15日までが提出期限となるため、直前には業務が一気に集中します。
個人事業主の顧客が多い事務所では、特に忙しく残業も多くなります。

■3月決算法人の決算・法人税申告（3月～5月）
法人クライアントの決算書作成。税務調整や法人税の申告対応。
3月決算の法人が多いため、特にこの時期に業務が集中します。決算書の作成や法人税の申告業務に追われることが多く、企業の経営者や経理担当者とも密なコミュニケーションが必要です。
法人の顧問先が多い会計事務所では、4～5月の方が忙しくなります。

この年間スケジュールは一般的な傾向を示していますが、実際の業務量や忙しさは事務所の規模や顧客の特性によって異なる場合があります。

通年で行われる業務
また、通年で行われる主な業務として、以下のものがあります。
■記帳代行業務
クライアントの日々の取引を会計ソフトに入力し、帳簿を作成します。
■月次決算
毎月の収益や費用を集計して経営状況を把握します。
■顧問先訪問
定期的にクライアント企業を訪問し、会計処理の確認やアドバイスを行います。
■給与計算
クライアントの従業員の毎月の給与計算を行います。
■税務相談
税金に関する相談やアドバイスを行います。
■税務調査対応
書類の準備や調査の立ち会い、指摘事項の対応などを行います。不定期に発生します。
■相続・資産税関連業務
財産評価や対策、相続税申告など不定期に発生します。
■各種コンサルティング業務
経営支援、財務、会計コンサルティングなどを行います。

会計事務所・税理士事務所での繁忙期は、繁忙期：12月～5月、比較的落ち着く時期：6月～11月です。
繁忙期における残業時間は、通常期と比べて多くなり1日あたり2〜4時間発生し、土日の出勤も発生するケースがあります。ただ、個人や勤務先の会計事務所によって時期や残業時間については変動します。
また、近年はIT活用による業務効率化や、残業削減の取り組みを進めている事務所も増えております。

会計事務所の業務は、他の業界と比べて繁忙期と閑散期の差が顕著です。繁忙期には業務量が多くなりますが、通常期にはワークライフバランスや資格勉強との調整が可能です。 個人の生活スタイルやキャリアゴールに合わせて、メリハリをつけてこの業務サイクルをどう活用するかが鍵となります。 就職・転職を検討する際にこの業界特有の繁閑の波を理解し、自身のライフスタイルと照らし合わせ、会計事務所の特性を事前に理解することが大切です。繁忙期の集中的な業務と通常期の時間の使い方を上手く活用できれば、充実したキャリアを築くことができるでしょう。

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