少子高齢化や価値観の変化により、企業の後継者不足が問題視されていますが、会計事務所業界でも長年地域経済を支えてきたベテラン税理士が引退の時期を迎える一方で、「後継者不足」という課題に直面している事務所も少なくありません。しかし、キャリアアップや独立志向のある税理士・税理士有資格者にとっては、将来のパートナーや所長候補として活躍できるチャンスでもあります。
本記事では、後継者不在の税理士事務所の背景と、そこへ応募する際のポイントについて解説します。

税理士事務所で「後継者募集」の求人が出るのは、所長税理士の高齢化や引退のタイミングが近づき、事務所の存続やクライアントとの関係維持のために、次世代のリーダーとなる人材が必要になるケースが多いです。日本税理士会連合会の実態調査では、60歳以上の税理士が全体の半数以上を占め、高齢化が進む一方、若手の人材が不足している現状があります。
こうした中で、所長の高齢化により引退を考え始めると「この先も顧問先を守りたい」「職員の雇用を維持したい」という思いから、後継者候補の採用へ踏み切ることになります。
特に地域密着で長年クライアントと信頼関係を築いてきた事務所ほど、「代表交代＝顧客離れのリスク」も大きいため、時間をかけて引き継ぎができる後継者を外部から募る動きが強まっています。
​
また、税理士法人の場合は、法律上「2名以上の税理士」が所属していることが要件とされているため、パートナー税理士が1名退職すると法人形態を維持できなくなる可能性があります。そのため、「法人を存続させるためのパートナー候補」として後継者を募集し、法人としての看板と顧問先を守る採用ニーズも生じます。

一方で、実務経験・マネジメント力・営業力などを兼ね備えた後継者候補を内部から育てるには時間とコストがかかり、人材不足の中で十分な育成リソースを確保できないケースも少なくありません。若手税理士が都市部や大手法人に集中しがちなこともあり、「応募が来ない」「採用しても定着しない」といった背景から、後継者求人の難しさが増しているのが実情です。

後継者募集の求人は、単なる「転職先のひとつ」というよりも、「将来的に自分が代表として事務所を運営するキャリアを前提にするかどうか」を見極めることが重要です。そのため、応募前のチェック項目も、通常の税理士補助やスタッフ求人よりシビアになります。ここでは、4つの応募ポイントを押さえておきましょう。

1つ目は、代表税理士との相性や経営理念に共感できるかどうかです。
後継者として事務所を継ぐということは、先代が築いた顧問先との信頼関係やサービススタイルを一定程度引き継ぎつつ、自分なりの経営を組み立てていくことを意味するため、価値観のズレが大きいと承継後にトラブルの種になりかねません。
​
2つ目は、自身のキャリアビジョンとマッチしているかどうかです。
「何年後に承継したいのか」「どの程度の売上規模やスタッフ数の事務所を将来的に運営したいのか」といった中長期のキャリア観と、事務所側が描いている承継スケジュールや事業計画の整合性を確認する必要があります。
​
3つ目は、待遇やサポート体制が責任の重さに見合っているかという点です。
後継者候補として入所する場合、一般のスタッフよりも幅広い業務や意思決定を求められる一方で、引き継ぎ期間の報酬や持分の扱い、将来の出資比率、引退時の条件などが不透明だと、期待と現実のギャップが生じやすくなります。
​
4つ目は、その求人が本当に「即時の後継者募集」なのか、それとも「幹部候補・中長期的な後継者候補」なのかを見極めることです。
実際に代表をバトンタッチするタイミングや条件、どこまで意思決定権を持たせてもらえるのかといった点を、面接や面談の段階でできるだけ具体的に確認しておくとミスマッチを減らせます。
さらに、後継者求人は数自体が多くないため、求人票に明記されていない「潜在的な後継者ニーズ」を持つ事務所も視野に入れ、情報収集のチャネルを広げることが大切です。その際、会計・税理士事務所に特化した求人サイトや専門メディアを活用すると、自分では見つけにくいニッチな求人にもアクセスしやすくなります。

後継者のいない税理士事務所への応募を検討するなら、まずは「どんなタイプの後継者募集案件があるのか」を俯瞰することが重要で、その際に便利なのが、会計・税理士事務所専門求人サイトの『ジョブノック』です。ジョブノックでは、税理士・税理士補助・会計事務所スタッフといった職種ごとに絞り込みながら、エリア、資格、働き方などの条件で求人を検索できるため、自身のキャリアとライフスタイルに合う事務所を見つけやすくなっています。

会計・税理士事務所に特化しているため、「税理士試験科目合格者歓迎」「将来のパートナー候補歓迎」「事業承継を見据えた募集」など、一般的な総合求人サイトでは埋もれがちな特徴も求人に反映されている点が強みです。加えて、ブログコンテンツでは税理士の後継者募集や税理士試験、転職ノウハウなど求人検索と同時にキャリア設計の参考になる情報収集ができることも強みと言えます。

ジョブノックの会員登録を行えば、検討中の求人をお気に入り保存したり、条件に合う新着求人を効率的にチェックしたりできるため、後継者募集のような希少性の高い求人も見逃しにくくなります。「いきなり応募するかは迷っているが、後継者候補として働ける可能性を探りたい」といった段階でも、情報収集用のプラットフォームとして利用しておくと、チャンスが巡ってきた際に素早く動きやすくなります。

【後継者募集中の税理士事務所求人の例】
ここでは、ジョブノックに掲載されている「税理士／後継者候補募集」の求人を参考に、実際の募集イメージを紹介します。
求人票では、地域密着で数十年にわたり中小企業や個人事業主の税務・会計を支えてきた歴史のある事務所が、事業承継を見据えて新たな税理士を募集するケースとして掲載されています。
募集ポジションは「税理士（後継者候補）」で、現在の代表のもとで顧問先対応やスタッフマネジメント、事務所運営全般を学びながら、将来的には代表として事務所経営を引き継ぐことを前提とした内容になっています。
待遇面では、月給レンジや賞与、想定年収の目安が記載されており、実務経験年数や保有資格によってスタート時の条件が変動すること、承継後の報酬モデルや持分の取り扱いについても面談時に相談可能といった旨が示されています。
​
業務内容としては、法人・個人の税務申告、巡回監査、資金繰りや事業計画の相談対応などのほか、事業承継や相続対策などの高度業務にも段階的に関わっていく想定です。
「地域に根差した経営支援を続けたい方」「独立開業も視野に入れつつ、既存顧客基盤を引き継いでスタートしたい方」を歓迎する旨が明記されており、独立志向のある税理士にとってはリスクを抑えながら自分の城を持てるキャリアパスとして魅力的な内容になっています。

このように、後継者候補の求人では、単なる「税務スタッフ」ではなく、代表交代を前提としたポジション・役割・将来像が比較的具体的に記載される傾向があります。応募の際は、求人票だけでなく、面談を通じて承継までのスケジュール感や職員構成、クライアントの業種・規模なども丁寧に確認し、自身のキャリアプランとのフィット感を見極めることが大切です。

税理士事務所で後継者がいない状況は、業界全体の高齢化や人材不足、地方事務所の採用難など、構造的な背景によって生じているものであり、決して一部の事務所だけの特殊事情ではありません。一方で、「いつかは独立したい」「もっと責任のある立場で顧客を支えたい」と考える求職者にとっては「既存の顧問先やノウハウを引き継ぎながら、自分の事務所を持つチャンス」として捉えられる側面もあり、キャリアの選択肢を広げる機会にもなります。

後継者のいない税理士事務所への応募を検討する際は、代表税理士との相性や経営理念、自身のキャリアビジョン、待遇や承継条件、そして本当に後継者を求めている求人なのかといったポイントを丁寧に確認することが成功のカギです。その上で、会計・税理士事務所専門の求人サイト「ジョブノック」を活用しながら、後継者募集を含む多様な求人情報を比較・検討していくことで、自分らしいキャリアパスにつながる事務所に出会える可能性が高まります。
​
「将来的に事務所を持ちたい」「地域に根差した税理士として腰を据えて働きたい」と考えている方は、この機会にジョブノックへ登録し、後継者候補の募集案件を含め、自身のキャリアに合った求人情報をチェックしてみてはいかがでしょうか？
会計・税理士事務所業界専門の求人サイト『ジョブノック～Job Knock～』は、エリア・業務内容・雇用形態やこだわり条件で検索でき、自分にぴったりの求人を見つけやすくなっています。ジョブノックとは？～あなたに合った仕事と出会える「ジョブノック」についてご紹介！無料登録・求人検索や応募・選考・利用方法について～ご利用はこちらから↓