全経上級の難易度は?日商簿記1級との違いや合格率・勉強時間を解説

  1. ジョブノックトップ
  2. ブログ一覧
  3. 全経上級の難易度は?日商簿記1級との違いや合格率・勉強時間を解説

全経上級の難易度は?日商簿記1級との違いや合格率・勉強時間を解説

全経簿記上級は、簿記検定の最上位の資格で、日商簿記1級と並ぶ難関資格として知られています。
特に税理士試験の受験資格取得や、会計・経理分野への就職・転職を目指す方の中には、「全経上級はどのくらい難しい?」「日商簿記1級とどちらが難しい?」「合格するには何時間くらい勉強すればよい?」という疑問を抱く方も多いでしょう。この記事では、全経上級の難易度や合格率、日商簿記1級との違い、必要な勉強時間、効果的な勉強方法、就職・転職におけるメリットまで詳しく解説します。

全経上級の難易度はどのくらい?

全経上級とは?
「全経上級」は、公益社団法人全国経理教育協会が主催する簿記検定の最上位の資格です。
全経簿記の正式名称は、「全国経理教育協会主催 簿記能力検定試験」で、基礎・3級・2級・1級・上級の5段階で構成されています。全経上級は、日商簿記1級と同様に、合格することで税理士試験の税法科目における受験資格を得ることができます。また、高度な簿記・会計知識を身につけられるため、税理士や公認会計士などの会計専門職を目指す方にとって、学習の土台となる資格の一つといえるでしょう。※参照:『公益社団法人 全国経理教育協会』
〇受験資格:全経上級は、性別・年齢・学歴・国籍などによる受験資格の制限はなく、誰でも受験できます。
〇試験日程:年2回(2月・7月)
〇試験会場:主に協会加盟の全国の専門学校
〇申込方法:協会ホームページから申込
〇受験料 :8,700円
〇試験科目:商業簿記、財務会計、原価計算、管理会計
〇試験時間:合計180分(商業簿記/財務会計 90分 、原価計算/管理会計 90分)
〇出題範囲:企業会計原則をはじめとする各種会計基準、原価計算基準、さらには意思決定会計など高度な会計学に及びます。単に仕訳を切る計算力だけでなく、会計基準の趣旨や背景を正確に理解しているかが問われるのが特徴です。
簿記能力検定試験出題基準および合格者能力水準
・商業簿記 / 財務会計 (上場企業) :①上場企業のCFO、公認会計士や税理士などの会計専門職およびその候補者として必要な簿記及び財務会計に関する事柄を理解できる。 ②大規模株式会社組織を計数の観点から管理するため、ならびに、公認会計士や税理士又はその候補者として業務を行うために、会計情報を作成及び利用できる。
・原価計算 / 管理会計 :製造・販売過程に係る原価の理論を理解したうえで,経理担当者ないし公認会計士を含む会計専門職を目指す者として,原価に関わる簿記を行い,損益計算書と貸借対照表が作成できる。また,製造・販売過程の責任者ないし上級管理者として,意思決定ならびに業績評価のための会計を運用できる。
〇合格基準:商業簿記/財務会計/原価計算/管理会計の各科目100点満点で、4科目合計400点満点です。
合格には、各科目の得点が40点以上で全4科目の合計得点が280点以上(70%以上)が必要です。合計得点が280点以上でも、1科目でも39点以下であれば不合格となる足切りラインがあります。そのため、得意科目だけでなく、全科目をバランスよく勉強することが合格への鍵となります。

【全経上級の合格率】
全経上級の合格率は、実施回によって変動しますが、近年はおおむね13~15%程度で推移しています。直近の主な試験では、以下のような結果となっています。
第221回(2026年2月) 13.56%(実受験者1,586人、合格者215人)
第219回(2025年7月) 14.44%(実受験者1,551人、合格者224人)
第217回(2025年2月) 14.43%(実受験者1,656人、合格者239人)
第215回(2024年7月) 15.49%(実受験者1,549人、合格者240人)
第213回(2024年2月) 13.10%(実受験者1,756人、合格者230人)
全経上級は「日商簿記1級と同水準」に位置付けられるハイレベルな難関資格です。税理士試験の税法科目における受験資格の一つとして認められており、税理士を目指す人にとって有力なステップの一つといえます。取得できれば簿記・会計に関する高度な知識を学んでいることを示せます。

全経上級と日商簿記1級の違い・難易度比較

全経上級と比較される代表的な資格が「日商簿記1級」です。どちらも簿記・会計分野の上位資格であり、取得すれば税理士試験の税法科目における受験資格を得られる共通点があるため、「どちらを取得すべきか」と悩む方も少なくありません。ここでは、両者の違いや難易度を比較・解説します。
▼関連記事
参考:「簿記1級はやめとけ」と言われる理由とは?取得するメリットや合格後のキャリアまで徹底解説

〇主催団体の違い
・全経上級 :公益社団法人 全国経理教育協会(全経)
・日商簿記1級:日本商工会議所(日商)
全国の専門学校や各種学校が加盟する「全経」に対し、「日商簿記」は各地の商工会議所が運営しています。

〇試験日程の違い
どちらの試験も年に2回実施されていますが、開催月が異なります。
・全経上級 :年2回(7月・2月)
・日商簿記1級:年2回(6月・11月)
試験時期がずれているため、6月に日商簿記1級を受験し、翌月7月に全経上級を受験するといったスケジュールを組むことが可能です。日商簿記1級と全経上級を両方受験すれば、6月・7月・11月・2月に受験機会を設けられます。会計資格の早期取得を目指す学習者にとって大きなメリットとなります。

〇試験問題・内容
全経上級と日商簿記1級の学習範囲はほぼ同じで、両資格とも、商業簿記や会計学(財務会計)、原価計算、管理会計に関する高度な知識が問われます。日商簿記1級は複雑な計算や資料の読み取り問題が中心となる一方、全経上級は「理論問題(記述問題)」の比率が高いのが特徴です。会計基準の用語定義や趣旨を文章で正確に理解しているかが問われるため、理論対策の重要性が高くなります。

〇受験者数・受験者層の違い
・全経上級  :実受験者数:約1,500人(1回あたり)
・日商簿記1級 :実受験者数:約10,000人(1回あたり)
このように、日商簿記1級のほうが、受験者数は大幅に多くなっています。受験者層にも違いがあり、全経簿記は経理・会計系の専門学校などで学ぶ学生の受験が多い一方、日商簿記は学生だけでなく、社会人や企業の経理担当者、会計士を目指す方など幅広い層が受験しています。

〇合格率の違い
全経上級と日商簿記1級の最新の合格率データは以下の通りです。
全経上級の合格率推移
第221回(2026年2月) :13.56%(実受験者 1,586人 / 合格者 215人)
第219回(2025年7月) :14.44%(実受験者 1,551人 / 合格者 224人)
第217回(2025年2月) :14.43%(実受験者 1,656人 / 合格者 239人)
第215回(2024年7月) :15.49%(実受験者 1,549人 / 合格者 240人)
第213回(2024年2月) :13.10%(実受験者 1,756人 / 合格者 230人)
※参照:『公益社団法人 全国経理教育協会』

日商簿記1級の合格率推移
第173回(2026年 6月):21.17%(実受験者 9,806人 / 合格者 2,076人)
第171回(2025年11月):15.24%(実受験者 10,524人 / 合格者 1,604人)
第170回(2025年 6月):13.98%(実受験者 9,610人 / 合格者 1,343人)
第168回(2024年11月):15.09%(実受験者 10,420人 / 合格者 1,572人)
第167回(2024年 6月):10.49%(実受験者 9,457人 / 合格者 992人)
※参照:『日本商工会議所 商工会議所の検定試験』
直近5回の合格率を見ると、全経上級はおおむね13〜15%、日商簿記1級はおおむね10〜15%程度で推移しています。(日商簿記1級の第173回は21.17%と大幅に上昇。)

〇全経上級と日商簿記1級はどちらが難しい?
全経上級と日商簿記1級は、どちらも同程度の難関資格といえます。全経上級は、試験ごとの合格率が比較的安定しています。必要な得点水準を意識して学習計画を立てやすい試験です。一方、日商簿記1級は合格基準が定められている一方、試験問題の難易度や受験者全体の得点状況によって、回ごとの合格率が変動する傾向があります。全経上級と日商簿記1級はいずれも高度な会計知識が必要な難関資格です。どちらが難しいかは一概に決められず、理論問題への対応力、計算スピード、過去問との相性などによって感じ方が変わります。

〇全経上級と日商簿記1級はどちらを取得すべき?
それぞれの特徴を踏まえると、目的に応じて以下のように選択するのがおすすめです。
・全経上級の取得がおすすめな人
税理士試験の税法科目における受験資格を、資格試験によって満たしたい人
・日商簿記1級の取得がおすすめな人
一般企業の求人では「日商簿記」を応募条件や歓迎資格として記載するケースが比較的多いため、資格名の認知度を重視する場合は日商簿記1級がアピールしやすい傾向があります。実際に経理職などの求人募集には、日商簿記が記載されているケースが多いです。

税理士試験の税法科目における受験資格を目指す上では、どちらに合格しても価値は同等です。年間の受験チャンスを増やして早期合格を目指したい人は、両方を受験して合格を目指すのが最も効果的なアプローチといえます。

全経上級の合格に必要な勉強時間と勉強方法

全経上級に合格するためには、どのようなスケジュールで学習を進めればよいのでしょうか。必要とされる勉強時間と科目に合わせた効率的な学習法を解説します。
〇全経上級の合格に必要な勉強時間の目安
日商簿記2級あるいは全経1級の合格者の場合、合格に必要な勉強時間の一般的な目安は約500時間〜800時間以上です。
目安として1日に2時間勉強した場合は、8か月~1年程度の期間が必要になります。500時間で一発合格できる人もいれば、複数回受験して1,500時間以上となることもあり、難関試験であるため、必要な学習時間には個人差があります。
完全な初心者からスタートする場合は、少なくとも1,000時間以上の学習を見込む必要があり、すでに日商簿記1級を学習中の方や合格者の場合は、全経上級と学習範囲が重なるため、300〜500時間程度の学習時間で抑えられる可能性があります。これらの学習時間を参考に無理のない学習計画を立てる必要があります。

〇全経上級は独学でも合格できる?
結論から言えば、適切な教材と計画的な学習があれば独学での合格も可能ですが、難易度は高いです。
特に日商簿記1級の学習経験者や合格者であれば、基礎知識は十分にあるため、日商簿記1級用のテキストで基礎・応用の計算力を固めつつ、全経上級の過去問題集で理論問題対策に焦点を当てた学習で対応できます。独学で不安な方や、最短ルートで効率的に合格を目指したい方は、通信講座や予備校の利用を検討するのがおすすめです。

〇全経上級の効果的な勉強方法
全経上級に合格するためには、日商簿記2級〜1級、または全経簿記1級レベルの知識を身につけたうえで、全経上級特有の傾向に合わせた対策をとることが不可欠です。
①まずは基礎知識をしっかり固める
全経上級では高度な問題が出題されますが、基礎知識が不十分な状態で応用問題や過去問に取り組んでも、効率的に実力を伸ばすことはできません。商業簿記、財務会計、原価計算、管理会計の基本的な論点を理解していることが前提になります。問題を解いていて分からない部分が多い場合は、無理に難しい問題を繰り返すのではなく、基本的なテキストや例題に戻ることも重要です。
②過去問を繰り返し解き、出題形式と解法の型を身につける
全経上級は出題形式・難易度・傾向が毎回比較的安定しているため、過去問演習が最も効果的です。
③商業簿記・財務会計は理論問題への対策を重視する
全経上級で多くの受験者が苦労しやすいのが、商業簿記・財務会計における理論問題です。暗記だけでなく会計基準の趣旨や背景を理解し、論理的に説明できる力が求められます。例えば、連結会計、外貨換算、リース、税効果会計、退職給付などの論点では、計算方法だけでなく会計処理の考え方を理解することで問題にも対応しやすくなります。
④原価計算・管理会計は計算パターンを繰り返し練習する
複雑な計算問題が出題されるため、知識だけでなく計算の正確性とスピードが求められます。材料費・労務費・間接費、CVP分析、標準原価計算と差異分析などは、基本的な考え方を理解したうえで、繰り返し問題を解くことが重要です。
⑤苦手科目・苦手分野を放置しない
全経上級では、幅広い分野から出題されるため、得意科目だけを伸ばす学習方法では十分とはいえません。特に、各科目で一定の得点が求められるため、極端な苦手科目を作らないことが重要です。苦手分野を克服する際は、いきなり難しい問題に挑戦するのではなく、基本例題⇒標準問題⇒応用問題⇒過去問という順番で学習を進め、どの問題を間違えたのか、なぜ間違えたのか、計算ミスなのか、知識不足なのかといった原因によって、対策方法も変わります。単に同じ問題を繰り返すのではなく、間違えた原因を分析することが、効率的な弱点克服につながります。
⑥本番を意識して時間配分を身につける
全経上級では、知識があっても、制限時間内に問題を解き切れなければ十分な得点を得ることはできません。そのため、試験直前だけでなく、過去問演習の段階から本番を意識して時間を計りながら問題を解くことが重要です。
①まず全体の問題を確認する⇒②解ける問題から確実に得点する⇒③時間がかかる問題は一度後回しにする⇒④最後に見直しを行う、といった時間配分を意識しましょう。普段から制限時間を設定して演習を繰り返すことで、自分がどの問題に時間をかけすぎる傾向があるのかを把握できます。

全経上級を取得するメリット!就職・転職にも役立つ?

全経上級を取得することで、キャリア形成においてどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、税理士試験の受験資格取得から、就職・転職での評価について全経上級を取得するメリットを解説します。
〇税理士試験の税法科目の受験資格を得られる
全経上級を取得する最大のメリットの一つは、税理士試験の税法科目の受験資格が得られることです。税理士試験の税法科目を受験するには、学識・資格・職歴などに関する受験資格のいずれかを満たす必要があります。全経簿記上級の合格も、その資格による受験資格の一つです。これは、大卒でない方や、異業種から税理士を目指す方にとって大きなチャンスです。
▼関連記事
参考:『税理士になるには?資格取得から登録まで徹底解説』

〇全経上級は「意味ない」資格なのか?
インターネット検索などで「全経上級 意味ない」という言葉を見かけることがありますが、資格の知名度と取得するメリットは別に考える必要があります。全経上級は、税理士試験の税法科目における受験資格として利用できるほか、簿記・会計に関する知識を示す材料にもなります。一方、一般企業での知名度を重視する場合は、日商簿記1級のほうがアピールしやすい可能性があります。

〇全経上級の取得がおすすめな人
・税理士を目指している人(受験資格の獲得や基礎力の確立に有効)
・会計事務所や税理士事務所、一般企業の経理職へ就職したい人
・一部の大学・短大・専門学校・専修学校では、合格することで学費の補助や免除等の制度があります。(参照:公益社団法人 全国経理教育協会)

~まとめ~
全経上級は、日商簿記1級と並んで比較されることの多い難関資格です。取得できれば、税理士試験の税法科目における受験資格を得る方法の一つであり、簿記・会計知識を身につけていることを示せる難関資格です。税理士を目指す方はもちろん、会計事務所や税理士事務所、経理職への就職・転職を目指す方にとっても、キャリア形成に役立ちます。

会計・税理士業界でのキャリアを考えている方は、会計・税理士事務所業界専門の求人サイト『ジョブノック~Job Knock~』もこの機会にぜひ一度チェックしてください。エリア・業務内容・雇用形態やこだわり条件で検索でき、自分にぴったりの求人を見つけやすくなっています。
ジョブノックとは
ジョブノックとは?~あなたに合った仕事と出会える「ジョブノック」についてご紹介!無料登録・求人検索や応募・選考・利用方法について~ご利用はこちらから↓



───────────────────────────────────────────
記事執筆・編集
Job Knock編集部
会計・税理士事務所業界に特化した求人サイト『Job Knock(ジョブノック)』の編集部です。

会計・税務、就職・転職、資格取得、税理士試験、キャリア形成などの情報を発信しています。
業界の就職・転職支援で培った知見を活かし、公的機関や信頼性の高い資料を確認したうえで、
正確でわかりやすい情報をお届けしています。
───────────────────────────────────────────