資産税特化事務所への転職はおすすめ?仕事内容や年収・転職のポイントを解説

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資産税特化事務所への転職はおすすめ?仕事内容や年収・転職のポイントを解説

相続税や贈与税、不動産などに関する税務を専門的に扱う「資産税特化事務所」。高齢化や相続・事業承継への関心の高まりを背景に、資産税分野の専門知識や実務経験を身につけたいと考え、資産税に強い税理士事務所や税理士法人への転職を検討する方も増えています。一方で、「一般的な税理士事務所と仕事内容はどう違う?」「資産税未経験でも転職できる?」「年収や将来のキャリアはどうなる?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

資産税の仕事は、単に相続税申告書を作成するだけではありません。相続財産の評価、相続税・贈与税の申告、相続対策、事業承継、不動産活用など、専門性の高い税務・コンサルティング業務に携われる可能性があります。そのため、経験を積むことで会計・税務業界における自身の市場価値を高められる分野の一つといえるでしょう。
この記事では、資産税特化事務所の仕事内容や一般的な税理士事務所との違い、転職するメリット・デメリット、求められる経験・スキル、転職で失敗しないためのポイントまで詳しく解説します。

資産税特化事務所とは?仕事内容と一般的な税理士事務所との違い

■資産税とは
資産税とは、土地・建物・預貯金・株式などの資産の保有、取得、移転、売却などに関連して課される税金の総称です。「資産税」は法律上の正式な税目名として存在するわけではなく、相続・贈与・財産評価・資産の譲渡・土地・不動産関連の税務・事業承継などに関する税務分野を包括的に表す業界用語・実務上の分類と考えると分かりやすいでしょう。

■資産税特化事務所とは
資産税特化事務所とは、相続税・贈与税・財産評価・相続対策・事業承継など、資産税に関する業務を中心に取り扱う税理士事務所や税理士法人のことです。一般的な税理士事務所では、法人や個人事業主の顧問業務を中心に、幅広い税務・会計業務を担当します。これに対して資産税特化事務所では、相続税申告を中心に相続財産の調査から土地・建物・株式などの評価、申告書の作成、相続人への説明まで、一連の専門的な案件の実務を数多く担当します。
ただし、「資産税特化」と一口にいっても事務所ごとに業務内容は異なります。
例えば、
・相続税申告を中心に扱う事務所
・相続対策や生前贈与のコンサルティングにも力を入れる事務所
・事業承継を得意とする事務所
・不動産会社、金融機関、弁護士、司法書士などと連携して総合的に相続・事業承継案件を扱う事務所
など、専門領域には違いがあります。そのため、資産税分野で専門性を高めたい場合は、「資産税特化」という求人の言葉だけで判断するのではなく、実際にどのような案件を扱っているのかを確認することが重要です。

■資産税特化事務所の仕事内容
資産税特化事務所の代表的な仕事内容には、次のようなものがあります。
・相続税申告
資産税業務の中心となるのが、相続税申告です。相続が発生すると、相続人や関係者から資料を収集し、被相続人が保有していた財産や債務を確認します。そのうえで、土地、建物、預貯金、有価証券、生命保険金、非上場株式などを適切に評価し、相続税額を計算して申告書を作成します。相続税申告では、財産の種類によって確認すべき資料や評価方法が異なるため、案件を経験するほど実務知識を深められる点が特徴です。
・贈与税申告・生前対策
資産税特化事務所では、相続が発生した後の申告だけでなく、生前から相続対策を支援する業務もあります。例えば、財産の移転方法や贈与を行う際の税務上の影響を検討し、将来の相続を見据えた対策を提案するケースです。顧客の家族構成や保有財産、将来の意向によって適切な対応は異なるため、単純に税金を計算するだけではなく、顧客の状況を丁寧にヒアリングしながら提案する力も求められます。
・土地・不動産などの財産評価
資産税業務では、土地や不動産の評価が重要な業務の一つです。同じ土地であっても、所在地や形状、接道状況、利用状況などによって評価額が変わる場合があります。そのため、資料を確認するだけでなく、必要に応じて現地を確認し、土地の個別事情を把握することもあります。財産評価は相続税額に大きく影響するため、税法や財産評価に関する知識だけでなく、資料を読み解く力や細かな点に気づく力も求められます。
・事業承継・非上場株式に関する業務
企業オーナーの相続では、個人の財産だけでなく、自社株式や事業そのものをどのように次世代へ承継するかが重要な課題となります。そのため、資産税に強い税理士事務所では、非上場株式の評価や事業承継に関する税務支援を行うことがあります。案件によっては、顧問税理士や金融機関、弁護士、司法書士などの専門家と連携しながら進めることもあり、税務だけでなく幅広い専門家との協働を経験できる可能性があります。

■一般的な税理士事務所との仕事内容の違い
一般的な税理士事務所では、法人や個人事業主との継続的な顧問契約を通じて、月次決算や税務申告などを継続して担当する働き方が中心です。資産税特化事務所では、相続や贈与といった特定のライフイベントをきっかけに発生する案件を扱うことが多く、1件ごとの案件に専門的かつ集中的に取り組む傾向があります。
主な違いをまとめると、次のようになります。
・一般的な税理士事務所(幅広い税務・会計経験を積みやすい)
・主な顧客:法人、個人事業主など
・主な業務:月次業務、決算、法人税・所得税申告など
・業務の特徴:顧問先と継続的に関わる
・求められる知識:会計、法人税、所得税、消費税など
・資産税特化事務所(資産税分野のスペシャリストを目指しやすい)
・主な顧客:相続人、資産家、企業オーナーなど
・主な業務:相続税、贈与税、財産評価、事業承継など
・業務の特徴:専門性が高く案件ごとの個別性が大きい
・求められる知識:相続税、財産評価、不動産、事業承継など

もちろん、一般的な税理士事務所でも相続税申告業務を扱っている場合があり、資産税特化事務所でも法人顧問業務を行っている場合があります。そのため、転職先を選ぶ際は「資産税特化か、一般的な税理士事務所か」という二択だけで考えるのではなく、自分がどのような業務に携わりたいのか、将来どのような税務・会計の専門家を目指したいのかを基準に判断することが大切です。

資産税を中心に専門性を深めたい方にとって、資産税特化事務所は魅力的な選択肢になります。一方で、幅広い法人税務や会計業務と資産税業務もあわせて経験したい場合は、担当できる業務範囲を十分に確認したうえで就職・転職先を選ぶ必要があります。税理士事務所・税理士法人によっては法人部門と相続・資産税部門が分かれていることもあります。そのため、状況によっては資産税業務を希望して入社したものの、配属先によっては希望する相続・資産税業務に携われない可能性もあります。

資産税特化事務所へ転職するメリット・デメリット

資産税特化事務所への就職・転職には、専門性を高められるという大きなメリットがある一方、経験できる業務が限定される可能性もあります。転職後に「思っていた仕事と違った」と後悔しないためには、メリットだけでなく注意点も理解しておくことが重要です。

【メリット①】資産税の実務経験を積み、キャリアの強みになる
最大のメリットは、資産税分野の専門性を高められることです。
相続税案件が発生する頻度は事務所によって異なりますが、一般的な税理士事務所では、法人・個人事業主の顧問業務が中心となるため、相続税申告案件を継続的に数多く経験できるとは限りません。「相続税申告を経験したい」と考えていても、経験を積めない可能性があります。一方、資産税特化事務所であれば、相続税申告や財産評価、相続対策、事業承継などの案件に継続的に携われる機会が多くあります。
相続税や事業承継は、税理士業務の中でも「高度な専門性」が求められる分野で、専門知識や実務経験を持つことで、転職時に自身の専門性としてアピールしやすく、キャリアを築くうえで大きな強みとなるでしょう。

【メリット②】高度な資産税業務・コンサルティング業務を経験できる
資産税業務の魅力は、申告書作成だけでなく、より高度なコンサルティング業務に携われる可能性があることです。例えば、相続が発生してから申告を行うだけでなく、相続発生前から顧客の財産状況を把握し、
・将来の相続税額のシミュレーション
・生前贈与の検討
・不動産の活用や組み替え
・非上場株式の承継
・後継者への事業承継
・家族構成や将来設計を踏まえた相続対策
などを検討することがあります。
顧客の資産状況や家族関係、事業内容によって最適な方法は異なるため、画一的な対応ではなく、一人ひとりの状況に合わせて考える力が求められます。また、事務所によっては、海外不動産や海外金融資産を含む相続、国外居住者が関係する案件などに携わることもあります。案件によっては、司法書士、不動産鑑定士、金融機関などの専門家と連携しながら業務を進めるため、幅広い知識や視点を身につけられる可能性があります。

【デメリット①】法人税務など資産税以外の経験を積みにくい場合がある
一方で、資産税に特化することで、法人税務や会計業務などの経験が限定される可能性があります。多くの一般的な税理士事務所では、顧問先を担当し、月次決算から決算申告、税務相談まで幅広く経験することができます。しかし、資産税特化事務所では、相続税や贈与税を中心とした業務が多く、法人税申告や消費税申告、巡回監査などの経験を積む機会が少ない場合があります。将来的に独立開業を考えている場合や、税理士として幅広い税務に対応できるようになりたい場合には、キャリアのバランスを考える必要があります。そのため、「資産税の専門家になりたいのか」「幅広い税務を経験したいのか」などの自身の目指すキャリアパスを明確にしてから就職・転職先を選ぶことが大切です。

【デメリット②】事務所によって案件数や担当できる業務に差がある
「資産税業務」という求人であっても、仕事内容は一律ではありません。例えば、年間数百件の相続税申告を行う大手の資産税専門事務所もあれば、相続税業務を扱っているものの、案件数は多くない事務所もあります。
また、担当業務についても違いがあります。
・資料収集や入力業務が中心
・相続税申告書の作成まで担当できる
・土地評価まで担当できる
・顧客との面談に同席できる
・主担当として案件を持てる
・生前対策や事業承継まで経験できる
業務内容の違いは、将来のキャリア形成にも大きく影響します。特に未経験から資産税業務に転職する場合は、「相続税案件があるか」だけではなく、入社後にどこまで担当できるのか、どのようなステップで専門性を高められるのかをしっかりと確認しましょう。

資産税特化事務所への転職難易度と求められる経験・スキル

「資産税未経験でも転職できるのか」「どのようなスキルが求められるのか」は、転職を検討する上で最も気になる点でしょう。ここでは、転職難易度と求められる要件について解説します。
■資産税未経験でも転職できる?
結論から言うと、資産税未経験であっても転職は可能です。
・税理士事務所での税務経験がある
・会計・税務の基礎知識や日商簿記2級以上を取得している
・税理士試験の科目合格・税理士資格がある
・資産税分野を積極的に学んでいる
といった方は、未経験であっても評価される可能性があります。
すでに会計事務所で申告書作成や顧客対応の経験がある場合、税務実務の基礎が身についているため、比較的スムーズに資産税業務へ移行できる可能性があります。また、税理士有資格者はもちろん、税理士試験の科目合格者(特に相続税法)や勉強中の方は評価されやすいです。税務経験がない場合でも、保有資格や学習意欲、ポテンシャル、コミュニケーション能力などを総合的に評価し、未経験者を採用する事務所もあります。

■相続税申告の実務経験があると転職で有利
資産税特化事務所への転職では、相続税申告の実務経験が大きな強みになります。経験者は転職市場でも高く評価される傾向があります。実務経験年数や担当した案件数、どの業務をどこまで担当したかも重要です。転職活動では「相続税申告を○件経験しました」と伝えるだけではなく、「そのうち土地評価を含む案件を何件担当した」「主担当として顧客対応を行った」といった具体的な経験を整理しておくと、より自分の強みを伝えやすくなります。

■資産税特化事務所への転職に向いている人
資産税特化事務所への転職に向いているのは、次のような方です。
・相続・事業承継分野の専門家を目指したい人
資産税を継続的に経験することで、相続税や財産評価などの専門性を高められます。将来的に「資産税に強い税理士や会計・税務人材」を目指したい方には適した環境です。税法に加え不動産や民法など幅広い知識が必要となるため、複雑な案件を調べ、専門性を深めることにやりがいを感じる方、法改正や新しい税制を積極的に学び続ける学習意欲が高い方に向いています。
・コミュニケーション能力と傾聴力がある人
相続は「感情」が複雑に絡む分野であり、遺族の心に寄り添い、真摯に話を聴く姿勢が求められます。資産家や地主、企業オーナー、相続人などさまざまな立場の方がいます。それぞれの状況や感情に寄り添いながら、専門的な内容を分かりやすく説明する能力が必要です。また、クライアントの財産や人生に関わる業務であるため、高い倫理観と責任感が不可欠です。
・コンサルティングに興味がある人
数字を処理するだけでなく、クライアントの課題解決に深く関わりたい方に向いています。資産税特化事務所では、税制や法律、不動産・金融などに関する知識も踏まえながら、必要に応じて他の専門家とも連携し、課題解決を支援するコンサルティング業務が重要な役割を担います。お客様の人生設計や円滑な資産承継に貢献したいという志向性を持つ方は、この環境で大きなやりがいを感じられるでしょう。
・細かい調査や分析が得意な人
資産税業務では、預貯金や有価証券だけでなく、土地や建物、非上場株式など、さまざまな財産について内容を確認し、適切な評価を行う必要があります。また、財産の状況や利用方法、権利関係などによって評価方法や検討すべき事項が異なることもあります。そのため、資料を丁寧に確認し、事実関係を整理したうえで、個別の事情に応じて必要な検討を行う力が求められます。細かな違いに気づき、資料を深く読み込みながら、「より適切な評価や処理ができないか」と考える分析力や探究心がある方は、強みを発揮しやすいでしょう。

■資産税経験者が狙える年収・キャリア
年収は、保有資格、経験、事務所規模、地域などによって大きく異なりますが、年収の目安としては次のような水準が考えられます。
未経験者・経験1~2年未満:300万円~450万円程度
経験2~5年程度の担当者:400万円~600万円程度
経験5年以上や税理士資格保有者:500万円~1,000万円以上

資産税の実務経験を持つ人材は、経験内容や担当できる業務範囲によって転職時の評価につながる可能性があります。特に、相続税申告、土地評価、非上場株式評価、顧客対応などを一貫して担当できる経験は、専門性としてアピールしやすいでしょう。特に税理士資格を保有し、相続税申告や土地評価、事業承継などの豊富な実務経験を持つ人材は、資産税分野の求人において専門性を評価されやすく、経験や担当業務によっては年収アップにつながる可能性もあります。また、独立開業した際も大きな強みとなります。

資産税特化事務所への転職で失敗しないためのポイント

資産税特化事務所への転職では、「相続税に強い事務所」というイメージだけで応募先を選ぶのではなく、実際の仕事内容や案件数、組織体制、働き方を具体的に確認することが重要です。ここでは、転職で失敗しないために確認しておきたいポイントを解説します。
■年間の相続税申告件数を確認する
まず確認したいのが、年間の相続税申告件数です。
資産税特化事務所で専門性を高めるためには、一定数の案件に継続して携われる環境が重要になります。
求人票や事務所のホームページだけでは分からない場合は、面接時に以下の点を確認しましょう。
・年間の相続税申告件数
・1人あたりの担当件数
・入社後に担当できる案件数
・未経験者が主担当になるまでの流れ
などを確認しましょう。
資産税の実務経験を積みたい場合に重要な判断材料になります。
■担当できる業務範囲と案件の種類を確認する
自分が入社後に実際にどのような業務を担当できるのか、業務が限定されていないかなども確認しましょう。
基礎資料収集から申告書作成、クライアント対応まで、一連の流れを経験できるかを確認しましょう。また、相続案件の規模、不動産を多く保有する顧客の相続、非上場株式を含む相続、事業承継、生前対策、国際資産税など、どのような案件を扱っているのかなども重要なポイントです。事務所によって任される範囲は大きく異なり、自分が将来身につけたいスキルと、転職先で経験できる業務が一致しているかを確認することが大切です。
■教育・研修体制が整っているか確認する
資産税未経験者の場合、専門性が高い分野であるため、教育・フォロー体制も重要です。
相続税や財産評価は専門性が高く、入社後すぐにすべての業務を一人で担当できるわけではありません。
そのため、
・研修制度があるか
・OJTやフォロー体制が整っているか
・先輩社員や税理士によるレビューがあるか
・マニュアルやチェック体制があるか
・外部研修や資格取得支援制度があるか
などを確認しましょう。
未経験から専門性を身につけたい場合は、採用実績だけでなく、未経験者が入社後にどのように育成され、活躍しているのかも確認しましょう。
■年収・残業時間・繁忙期などの働き方を確認する
一般的な税理士事務所と異なり、資産税特化事務所では、相続税申告の期限や案件の受注状況によって、時期ごとの業務量が変動することがあります。組織体制が整っており、年間を通して業務量を平準化している事務所もあれば、案件が集中する時期に残業時間が増える事務所もあります。固定残業代の有無、実際の残業時間や有給消化率などの働き方についてもチェックしておきましょう。特に税理士試験の勉強を続けながら働きたい方は、試験前休暇や残業時間なども確認しておくと安心です。給与だけを見るのではなく、その年収でどのような経験を積めるのか、将来的なキャリアアップにつながるのかという視点で比較することが重要です。
■税理士・会計業界に強い転職サービスを活用する
資産税特化事務所への転職では、一般的な求人サイトだけで探すのではなく、会計・税理士業界に特化した求人サービスを活用することもおすすめです。専門業界に特化した求人サイトであれば、相続税・事業承継、税理士・税理士科目合格、会計事務所経験者、未経験歓迎など、自分の希望条件に合わせて求人を探しやすくなります。

~まとめ~
資産税特化事務所は、相続税や贈与税、財産評価、事業承継など、専門性の高い資産税業務を経験できる魅力的な転職先です。実務経験を積むことで、資産税に強い税務・会計人材としてキャリアを築きやすくなるでしょう。
転職を成功させるためには、「資産税特化」という言葉だけで判断せず、年間案件数や担当できる業務範囲、組織・教育体制、働き方、そして自身のキャリア目標と合致するかどうかを見極めることが重要です。資産税分野で専門性を高めたい方は、求人内容を比較しながら、自分に合った資産税特化事務所を探してみましょう。

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記事執筆・編集
Job Knock編集部
会計・税理士事務所業界に特化した求人サイト『Job Knock(ジョブノック)』の編集部です。

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