税理士試験の住民税について徹底解説!

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税理士試験の住民税について徹底解説!

税理士試験の科目選びにおいて、「住民税」はどのような特徴を持ち、どのような対策が必要なのでしょうか。
税理士試験は全11科目の中から5科目に合格する必要がある難関国家資格です。その中でも「住民税」は税目として身近でありながら、受験者数が少ない科目として知られています。「住民税は科目合格しやすいの?」「学習ボリュームはどのくらい?」「実務や転職で役に立つの?」といった疑問を抱えている受験生も多いのではないでしょうか。本記事では、税理士試験の「住民税」について試験内容や難易度、合格率の推移、効果的な勉強方法までを徹底解説します。科目選択に迷っている方や、これから住民税の勉強を始める方は、ぜひ参考にしてください。

住民税とは?

住民税とは、地方税法に基づき、都道府県や市町村が個人や法人に対して課税する地方税です。一般的に、都道府県民税と市町村民税を合わせて「住民税」と呼ばれています。住民税は、教育、福祉、ごみ処理、消防・救急など、地域住民の生活を支える行政サービスの財源として活用されています。

税理士試験における「住民税」の基本と位置づけ
税理士試験は、会計科目2科目と税法科目3科目の合計5科目に合格する必要があります。構成は以下の通りです。
〇会計学に属する科目(必須2科目)
簿記論、財務諸表論
〇税法に属する科目(選択制3科目)
【選択必須】 所得税法 または 法人税法のいずれか1科目以上
【選択】 相続税法、消費税法 または 酒税法、国税徴収法、住民税 または 事業税、固定資産税
税法科目のうち所得税法または法人税法のどちらか1科目は必須(選択必須科目)であり、残りの税法科目を自由に選択して合計5科目に合格することで税理士資格を得る仕組みになっています。住民税は、この税法9科目の中の選択科目の一つです。同じく選択科目である事業税とは同時選択はできず、住民税か事業税のどちらか一つしか受けることができません。なお、住民税法という法律はなく、固定資産税や事業税などと同じく地方税法に規定されています。

住民税は、法人税法や所得税法、相続税法などと比べると試験範囲が狭く、学習ボリュームも比較的少ないことから、いわゆる「ミニ税法」と呼ばれる科目です。そのため、学習負担の軽さを理由に選択科目として選ぶ受験生も少なくありません。
受験者数は他の税法科目と比較し少ないものの、簿記論や財務諸表論に合格した受験生や、法人税法・所得税法など難関科目を突破した実力者、最後の1科目として挑戦する受験生も多いといわれています。そのため、試験範囲が狭いからといって「受かりやすい」「簡単」というわけではなく、受験生全体の得点率が高くなる傾向があり、ケアレスミスが合否を左右することも少なくありません。油断せず、制度の理解と正確な知識を身に付けたうえで、しっかりと対策することが合格への近道となります。

所得税との関わりが深い
住民税は、個人が前年1年間に得た所得に対して課される税金で、実務においても所得税と非常に深い関わりを持っています。所得税が国に納める「国税」であるのに対し、住民税は地方自治体に納める「地方税」ですが、税額計算の基礎となる所得の考え方は所得税法を基礎としている部分が多くあります。
また、住民税の試験では、個人住民税を中心に出題される傾向にあり、所得税法との共通点や相違点、住民税独自の項目が頻繁に出題されます。所得税法を学習済み、または並行して学習している受験生にとっては理解しやすい科目です。所得税法を選択した受験生が5科目目として住民税を選ぶケースも多く見られます。

実務との関連性
住民税は、法人税法や所得税法、相続税法、消費税法と比べると、実務で活用する場面はそれほど多くありません。個人住民税は所得税、法人住民税は法人税を基に税額が算定され、実務では所得税や法人税の申告内容をもとに地方自治体が税額を決定します。そのため、税理士業務において住民税単独での業務は多くありませんが、所得税や法人税に関連して取り扱う機会があります。一方で、顧客への税負担シミュレーションや節税提案を行う際には住民税も考慮する必要があるため、基本的な制度や計算方法を理解しておくことは重要です。

税理士試験の住民税の試験内容

住民税の試験を突破するためには、まず試験の全体像や出題傾向を把握することが重要です。
ここでは受験資格、日程、試験範囲や出題形式・傾向について解説します。

【受験資格】
住民税の受験には、一定の資格が必要です。主な区分は以下のとおりです(2023年以降、会計科目の簿記論・財務諸表論については受験資格が不要となりましたが、税法科目は以下の受験資格が必要です)。(参照:国税庁HP
・学識:大学、短大・高等専門学校、専修学校卒業で、社会科学に属する科目を1科目以上履修、大学3年次以上で、社会科学に属する科目を1科目以上含む62単位以上を取得、司法試験合格者・公認会計士試験の短答式試験の合格者など
・資格:日商簿記検定1級合格者、全経簿記上級合格者
・職歴:会計事務・銀行業務などに2年以上従事。税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事

【試験日程など】
・税理士試験日程:例年、8月上旬~中旬の3日間にわたって実施されます。
・試験時間:2時間です。
・受験地:全国の主要都市に設けられています。正確な日程や時間割は、国税庁のホームページにて例年4月上旬から4月中旬頃に公表されます。(参考:『税理士試験の試験会場は?いつわかる?過去の会場は?注意点は?』
・受験申込受付:例年4月下旬~5月中旬ごろです。申込書類や必要書類の準備をして、申し込みをします。
・合格基準:合格基準点は各科目とも満点の60パーセントです。
・合格発表:合格発表の日程は、例年11月下旬から12月上旬頃です。

【試験範囲・出題形式・傾向】
・試験範囲:住民税に係る地方税法、同施行令、同施行規則に関する事項のほか、地方税法総則に定める関係事項及び当該科目に関連する他の法令に定める関係事項を含む。
・出題形式・傾向:住民税の試験は、「理論問題」と「計算問題」の2本柱で例年構成されており、基本の配点はそれぞれ50点(合計100点)です。
理論問題では、制度の意義や趣旨、賦課課税方式の仕組み、所得割・均等割の趣旨、徴収関係などについて問う問題が出題されます。問題文のボリュームは比較的短く、暗記の正確性や記述のスピードが合否に直結します。
計算問題では、個人住民税に関するものが多く、個人の所得金額や控除額、税額計算、申告手続きに関する総合計算問題などが出題されます。計算すべき内容が多く、内容も複雑なため、正確かつスピーディーに解答するスキルが求められます。また、改正項目も頻繁に出題される傾向があり対応が必要です。高得点勝負になりやすいため、1つの計算ミスが大きな命取りになります。

住民税の難易度

国税庁の公表データによると、住民税の合格率は、直近5年間で12%〜18%程度で推移しており、5年間の平均合格率は16.12%です。推移は以下のとおりです。
2025年(第75回):17.8%(受験者数 439人、合格者 78人)
2024年(第74回):18.2%(受験者数 461人、合格者 84人)
2023年(第73回):14.7%(受験者数 462人、合格者 68人)
2022年(第72回):17.2%(受験者数 476人、合格者 82人)
2021年(第71回):12.7%(受験者数 378人、合格者 48人)
他の主要な税法(法人税法や所得税法など)と比べると、受験者数は毎年400人前後と少なく、直近5年間の合格率はやや高めの水準で推移しています。

住民税は難しい?
税理士試験の中では「中レベルの難易度」に位置付けられます。勉強時間の目安は、一般的に200〜400時間以上が必要とされていますが、理論暗記や計算対策を含めると人によっては、400~600時間程度を要するケースも少なくありません。
合格率だけを見ると、他の主要な税法科目より取り組みやすい印象がありますが、実際には油断できません。出題範囲が比較的コンパクトな分、多くの受験生が本試験までに仕上げてくるため、計算ミスや記載漏れがそのまま失点につながりやすいのが特徴です。

また、住民税は出題傾向が安定している一方で、受験者のレベルが高く、高い精度で得点する力が求められます。特に計算問題は合否を左右しやすいため、過去問を繰り返し解きながら、よく出る論点を確実に押さえることが重要です。さらに、所得税法や法人税法を学習済みの受験生は、共通する論点を活かして効率よく学習を進めやすく、勉強時間を短縮できる可能性があります。初学者や税法科目に慣れていない方は、余裕を持った学習計画を立て、過去問演習と最新の税制改正への対応を並行して進めることが合格への近道です。

住民税に合格するための勉強方法

住民税で合格するためには、出題範囲が絞られているため、パターン学習が有効で効率的に対策すれば合格点が狙えます。基本問題を確実に解ける力を身につけることが重要です。難問で差をつけるというよりも、標準的な問題をどれだけ落とさずに得点できるかが合否の分かれ目になります。また、税制改正への対応も必要で、最新の改正内容を確認しながら学習を進めることも必要です。
ここでは、具体的な勉強方法やポイントをご紹介します。

所得税法を学習済みであれば大きなアドバンテージになる
税理士試験の住民税では、個人住民税の問題が主軸となっています。そのため、所得税法との関連性が非常に高く、計算方法の多くが共通しています。所得税法を学習済みの受験生は、住民税の計算もスムーズに理解しやすいでしょう。一方で、所得税法の知識がない状態で住民税から学習を始めると、理解に時間がかかる場面も少なくありません。受験科目の選択に迷っている場合は、所得税法との学習順序も検討すると効率的です。

計算問題対策
住民税は計算問題の重要度が高く、計算が得意な人に向いている科目です。本試験では、問題を素早く的確に読み取る能力と計算スピード、解答を早く書く能力が求められます。合格レベルの計算処理力を身につけるためには、以下のポイントを意識しましょう。
基礎期からの体系的理解:まずは基礎期に基本的な計算項目をひととおり学習し基礎を固めます。また、これは理論学習の土台にもつながります。
同じ問題を繰り返し解く:問題を何度も反復します。「前回より少しでも速く解く」「解き終えた後に、さらに短縮できるプロセスがなかったか徹底的に振り返る」という改善を常に繰り返すことで、自分なりの解答パターンが完成します。
弱点がどこにあるかをチェックして自己管理する:模擬試験や答練ごとに①点数、②解答所要時間、③間違えた箇所を記録して、自分の弱点がどこかを確認して管理しましょう。目標時間を強く意識して解くことで、本試験では手が勝手に動くという次元まで高めることができます。

理論問題対策
住民税の理論は、単独の論点だけでなく、複数の論点を組み合わせて一つのテーマを構成することが多いため、まずは個別論点を一つずつ理解・暗記し、その後に関連づけて整理していく方法が効果的です。基礎固めと網羅的な暗記:まずは1つひとつの個別理論を暗記します。偏りが出ないようチェックシート等を活用し、まんべんなく繰り返し学習しましょう。直前期に向けて重要理論を中心に精度を高めます。
応用理論テキストや過去問の活用:個別理論が頭に入ったら、それらを関連させて使うトレーニングへ移行します。応用理論テキストなどを活用し、「どの理論を・どう組み立てて・どんな流れで書くか」という出題パターンごとの解答プロセスを理解すると得点力が安定しやすくなります。
直前期には、出題頻度の高い重要理論を中心に繰り返し確認し、過去問やチェックシートで管理して偏りなく学習を進めることがポイントです。過去問でよく出るパターンや、理論の組み立て方を把握することが重要になります。

ケアレスミスをなくすために「基本問題を絶対落とさない」意識で対策する
税理士試験は毎年一定の合格率(10~15%程度)になるよう調整される相対評価の試験です。住民税のような比較的ボリュームの少ない科目では、誰もが解ける基本的な問題を1問でも落とすと致命傷になります。難問に時間をかけるよりも、「基本的な問題をどれだけ確実に、ノーミスで解ききれるか」が合否を分ける最大のポイントです。本試験で「計算は満点を取れた」と言えるレベルを目指しましょう。

予備校・通信講座などの活用がおすすめ
住民税は独学での合格が不可能ではありませんが、法改正への迅速な対応や、最新の出題傾向を捉えるためには予備校や通信講座を利用するのが効果的です。独学で進める場合であっても、全国における自分の立ち位置(順位)や時間配分の感覚を掴むため、予備校の模擬試験(答練)は必ず受験するようにしましょう。

~まとめ~
税理士試験の「住民税」は、他の主要税法科目(法人税法や所得税法など)と比較して学習ボリュームが少なく、いわゆる「ミニ税法」として効率的な学習が狙える科目です。しかし、受験者のレベルが高く高得点勝負になりやすいため、「基本問題をいかにノーミスで解ききれるか」「ケアレスミスをゼロに抑えられるか」が合否を分ける極めて精密な試験でもあります。特に所得税法との親和性が高いため、学習順序や併行学習のプランを工夫することで、合格の可能性を高めることにつながります。
試験の特性や傾向を正しく把握し、計画的な対策を進めて税理士試験の合格を目指しましょう!

税理士試験の学習と並行して、会計事務所や税理士事務所で実務経験を積むことは、試験で学んだ知識を実践で活かせるだけでなく、資格取得後のキャリア形成にも大きなメリットがあります。実務を経験することで、税法への理解がより深まり、学習のモチベーション向上にもつながります。
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